step

作り上げてから直ぐは、CDを聴くことが出来ませんでした。只々、距離を置きたいと思っていました。“call tour”の最中も、ライブ前に各地のスタジオに入り、内に篭って作っている時もありました。ライブが終われば、一人になりたくて、そこら辺を散歩していたり。大分迷惑をかけていたことだと思います。格好はつけたくないけれど、良く見せたいと考えている自分がいて、どう見られても良いと思っているくせに、何で分かってくれないのだろうと思っていたり。そんな状況のまま、ずっと潜っていました。不甲斐なくて。

唯一、救われていたのが各地で出会えた方々や、友達になれた(一方通行ですが)方々、そして、今まで応援してくださった方々との思い出でした。“so call”という曲を作れたきっかけでもあるのですが、本当に救われました。何で自分に、こんなに優しい言葉を下さるのだろう、まあ多めにみても社交的ではないので、そんな事ばかりを考えていました。でも、そんな自分でもこの人達と話したいなと、御礼をしたいなと思いました。自分の言葉で。

「stage2は、大須賀そのものだよね。」

これは、川田君と岡田君に言われた言葉です。CDを聴きたくなかった理由も、此処にあると思います。全部の曲が大須賀なんだと思います。まあ、今までもそうなのですが、上手く言えないので一番近い言葉で言うならば“素”でしょうか。リラックスではなく、脚色の無い原体験。忘れてはいないけれど、考える事をしないようにしていた“考え”や“記憶”。何でか分からないですが、今のタイミングを逃したら、今までを繰り返すだけのバンドになる気がして、嫌われるかもしれないけれど、面白くないかもしれないけれど、向き合ってくれた分、向き合える曲を作ろうと思えました。

結果、とにかく、無駄な事は削り落としました。普段思っていない事は書きませんでした。とても当たり前の事ですが、日頃、大した事を考えていないのだから、曲の為に歌詞は書きませんでした。曲も歌詞も有るべく姿で残す事が出来ました。おかげ様で、一生誇れる、残せて良かったと思える物を作れました。僕の人生は、これ以上でも以下でもありませんので。図書室で一人で昼飯食べていたり、ぺんぺん草の歌を歌いながら帰っていた日々も、今ならば感謝出来ます。今だから感謝が出来ます。大丈夫だからねと。

さて、本日は“step”の発売日です。正直、凄く売れる想像は出来ません。でも、売れてほしいと思っています。売れるものだと思っています。そして、今までのどの作品よりも伝わると思っております。だから、あんまり心配はしていません。出会えた人に届いてくれる事を祈って、これから出会える人に届いてくれる事を祈って。

作れて、本当に良かった。
ライブ、楽しみだなあ。

大須賀拓哉